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Cross Talk 1<アビスト>AIとOCRで車両認証業務自動化に挑む

AIとOCRを活用した車両認証業務自動化システムの開発で、業界に大きなインパクトを与えたアビスト社。しかし事業計画が持ち上がった当初は、なかなかうまく進まなかったそうです。現場に支持される“効率化”を実現したシステムの成功要因や、開発のいきさつなどについてお話を伺いました。

現場を意識した深いコミュニケーションと誠意ある対応が生んだ、信頼感

株式会社アビスト 専務取締役・進 様(以下、アビスト・進)

弊社は三次元CADを用いた技術者の派遣と、得意先様からの請負をメイン業務としています。3年前くらいから「今後はAIがどんどん進むから、AIでなにか新規事業を起こせないか」と社長から指示があったのですが、なかなか良い結果が出ませんでした。そんな中、プラスゼロさんをご紹介いただいたのです。

本業では新卒を1から教育して育てていましたが、新規事業では1から育てていくには時間がかかりすぎ、タイミングを逃してしまいます。ですから、高い技術を持った会社様と協業しながら事業を立ち上げたいと考えるようになりました。

何社かお話を伺ったのですが、どんな取り組みが出来るかという話の前に、まずは契約ありきという会社がほとんどでした。しかしプラスゼロさんは、メンバー候補者と一緒に3ヶ月ほど勉強をしながら適性を見て、AI事業について社長にプレゼンをし、その上で最終的に協業するかどうかを決めていただいて結構です、とご提案くださいました。プラスゼロさんのその姿勢には、非常に誠意を感じました。
株式会社pluszero 取締役会長・小代(以下、pluszero・小代)

社内で新規事業にチャレンジをしていてもなかなか難しいと伺ったので、そのようなご提案をさせていただきました。私どもがAIやITという知見をご提案することはもちろん出来るのですが、一方で御社の三次元CADのアウトソーシングをメインとする事業を深く理解しているかというとそうではありません。ですから相互に目線を合わせながら、価値を創出するプロセスが一番効率がいいのではと考えたのです。

メンバーを組成していただいて、AIの基本的な研修をOJTのように受けていただくと同時に、互いに深いコミュニケーションを取るようにしました。最終的には御社様からのアイデアと弊社からのアイデアが数百出て、その中から3つに絞り込み社長にプレゼンさせていただきました。

AIはやってみないとわからない部分も多いのですが、御社はかなりスピーディに「やる」というご決断をしてくださいました。まさに即断即決だったので、この会社様とならスピーディに世の中を変えていけると思いましたね。
株式会社アビスト 取締役 専務執行役員 AIソリューション事業本部長・丸山 様(以下、アビスト・丸山)

今回手掛けたプロジェクトはOCRを用いたものですが、それは現場の声から生まれたものと言っても過言ではありません。実際にどれだけの精度で読み取れるのかという声もあがりましたが、その懸念点を払拭するのにプラスゼロさんの技術力がぴったりはまったのだと思います。
pluszero・小代

いかに業界にインパクトを与えるかが大きな課題でした。そのためにもスピード感は大切で、木曜日にご相談いただいたら、月曜日にはわれわれが“先方の特殊ニーズに合うかどうか”を独自エンジンによって検証し、すぐに提案に伺うといった具合。ただOCRで読めるという部分的な機能性ではなく、お客様の業務全体がこんなふうに効率化できるのではという全体図を書いてご提案するよう心がけました。

現場力のあるアビスト様と組んだからこそ生まれた「現場できちんと使ってもらえるシステム」

株式会社pluszero 取締役社長・森(以下、pluszero・森)

今回のOCRの技術で難しい部分が、2点ありました。一点目は、文書フォーマットの認識。文字列以前にどのようなフォーマットで文書が作られているのかを認識する必要がありました。弊社ではレシートや請求書、論文に特許文書など、これまで様々なフォーマットの文書を読み込んだ事例があり、パッケージを売るよりもOCRのカスタマイズに注力してきました。その経験が御社との事例でも役立ったのかなと思います。
もうひとつの難しかったのが、現場の厳しい基準。OCRは99%までの読み込みは比較的簡単なのですが、残り1%は間違えることもあります。では間違ったときにはどうするかというバックアッププランも含めて設計しないと、結局は業務で使えなくなってしまいます。御社が関わられている業務の中に、機能を適切に組み込むことで自然にAI導入でき、実務に使えるものに仕上がったのだと思います。
pluszero・小代

AIはブームになっています。力強い武器ではあるものの、あくまで手段の一つ。現場の課題がなにか、現場をどれだけ深く理解しているかがAIやITを導入する上で一番大切だと感じています。

現場でどのように使うか、どのように導入すれば現場が本当に使おうと思うレベルになるかをアビスト様がスムースかつ正確にご判断くださったのは成功要因でした。進めば進むほど次の課題感が見えてくる中で、御社の現場力とプラスゼロのAIソリューション力が最適なバランスで組み合わさったのだと思います。
アビスト・進

随時持ち上がる課題を真摯に受け止め、スピーディに、誠心誠意込めて対応いただいたことで、クライアント先であるトヨタ様にも評価いただきました。

勉強会を開いていただくことから始まりましたが、もし最初から契約ありきで進んでいたらこのような形にはならなかったと思います。今もことあるごとに様々な相談を差し上げていますが、それに対しても自分のことのように親身になってアドバイスいただいています。この素晴らしい関係が長く続き、お互いに求めるビジネスにつながっていくといいなと心から願っています。これだけ信頼できるパートナーが見つかって、本当に良かったです。
アビスト・丸山

後から振り返ると、「前に小代さんが言っていたことだな」ということがたびたびありました。言われた当初は事業のスタート前だったので、「本当にこんなことできるのかな」と半信半疑だったんです。それをいざ実際にやってみると、市場やテクノロジーなどをきちんと知った上で進言してくださっていたのだなということがわかりました。

この事業がスタートしてから1年半。ようやくお客様の課題をキャッチし、それに対するソリューションを生み出すというサイクルが回るようになってきました。当社のエンジニアだけでそれができればいいのですが、この案件については二社あってこそ実現しているのだと感じています。
pluszero・森

AI適用では、運用先のドメインの知識がかなり求められます。御社は製造業に深い知見をお持ちなので、幅広い形のパートナーシップを構築できたのは幸運でした。それに加え、御社の三次元CADや3Dプリンティングといった強みは、今後10年で主戦場になっていく分野だと思います。ARやVRについても、そういったご経験が非常に活かされる領域です。今後はさらに進展した事業に成長していくのではと期待しています。

インパクトのあるBPOを世の中に広めたい

pluszero・小代

AIでどこまで効率化していくのかというのは一朝一夕に進むものではありません。ですから御社とのコラボによって、業界をリードしていくというところまで持っていけるのではないかとワクワクしています。三次元CADとAI適用の事例を増やしていくことで、製造業界の未来を変えていけるかもしれないという気付きがたくさんありました。

よくAIは、導入さえすれば効果があるのではと思われがちですが、一方で現場で導入しても期待に応えられず失望感が広がるという事例も散見されます。今回の協業では「現場で使える一定以上の品質にまで引き上げるんだ」というプロフェッショナルな姿勢を間近で触れさせていただき、本当に勉強になりました。「AIは99%最適解を導き出す」と言われますが、99%では、現場では使えない。そういう、いい意味での現場の厳しさを知ることが出来ました。現状の中でいかに現場にインパクトを出していくかという解を導き出す楽しさを経験させていただいたコラボでした。

最終的には、アビストさんとともにAI導入の標準モデルを作り出したいと考えています。技術と人が最適にコラボした「ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)」によって、クライアントの非戦略的な業務をそっくり請け負うというビジネスモデルが実現できるといいなと考えています。現場から信頼されている人がメンテナンスをしながら、AIによる効率化の恩恵を最大限に受けられることで、エンドユーザーとしてはコスト削減を実現している。そんな、本当に効果の出るBPOを世の中に普及させていきたいですね。
アビスト・進

弊社はまだAIを立ち上げたばかりですので、技術面でまだまだプラスゼロさんのお力添えをいただかないといけないと感じています。御社からは「製造業に関してはアビスト様と協業していきたい」というお話も頂いていますし、互いの強みを活かし、さらに大きなプロジェクトに取り組めるといいなと思います。そのためにもまずは独り立ちできるような技術力を磨いていきたいですね。
対談の詳細はこちらからご覧いただけます。