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Cross Talk session6 あらゆるユーザーの検索体験を向上させたサイト改善。成功要因は、埋もれた課題まで洗い出すプラスゼロの顧客理解と提案力

寄附金額や欲しいお礼品に合わせて納税先を自由に選べるポータルサイト、「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク社。様々な背景・思いを持つユーザーが使いやすいサイトを目指し、プラスゼロとともに検索アルゴリズムの改善に取り組みました。協業に至った理由や開発中のエピソードについて、お話を伺いました。

株式会社トラストバンク
執行役員 / ふるさとチョイス事業本部長
和田 正弘
×
株式会社pluszero
代表取締役社長 / COO / 博士(科学)
森 遼太
×
株式会社pluszero
事業・人材開発担当
木村 崇大

高度なアルゴリズムで、検索体験を最適化

トラストバンク株式会社 執行役員 / ふるさとチョイス事業本部長・和田 様(以下、トラストバンク・和田)

弊社は「自立して持続可能な地域をつくる」というビジョンのもとに、地方・地域に関わる様々なビジネスを展開してきました。今回のプラスゼロさんとの取り組みは、ふるさと納税のポータルサイトである「ふるさとチョイス」というサービスのサイト改善です。

現在、「ふるさとチョイス」と契約されている自治体はだいたい1580。日本全国の自治体数が1778なので、ほぼ9割の自治体様と契約がある計算になります。また、掲載しているお礼品の数は、おおよそ30万点になります。類似サービスの中でも、ナンバーワンのスケール感と言えるかと思います。
株式会社pluszero 代表取締役社長・森(以下、pluszero・森)

「ふるさとチョイス」のサイトは、一見するとECサイトのようですが実は目的もユーザーのペルソナも全く異なり、それが今回のサイト改善ではポイントになりましたよね。
トラストバンク・和田

はい、弊社は寄付者様と自治体様をつなぐマルチプラットフォームビジネスです。当初は寄付者のペルソナを想定し、カスタマージャーニーを引くような一般的なマーケティングアプローチを試みました。しかしふるさとチョイスのユーザーには無数のセグメントパターンが存在し、シナリオベースでのユーザーコミュニケーションでは限界が来てしまうのが第一の課題でした。

もうひとつは、ふるさと納税というもの自体がショッピングとは全く異なるものであること。節税の意識で、「何かもらえるから得だ」と考えてやってらっしゃる人もいれば、「地元に寄付をしたい」という思いでやってらっしゃる人もいる。災害支援や地域貢献、社会貢献という観点の方がいる上、この意識はタイミングや社会情勢によっても変わるため、セグメントで切ることが難しいのです。この2点が通常のECのサイトとは全然違う点です。

そこに気付いたとき、シナリオベースのコミュニケーションではなくアルゴリズムベースで個々のユーザーが望むものをきちんと返さなければいけないと思い至りました。それにはテクノロジーをいかに活用するかが重要で、様々な会社を探す中でプラスゼロさんと出会いました。
pluszero・森

弊社を協業先に選ばれた決め手はありましたか?
トラストバンク・和田

技術力はもちろんですが、提案書の内容が素晴らしかったことです。

初めてお会いした際、「こういうことを考えていて、こういう課題があり、こういうことを実現したいけれども、具体的なアイディアはない」というような話をしましたよね。すると3日後ぐらいに「時間がないので全部Wordで書いてきました」と25枚ぐらいの提案書を持ってきてくださったんです。

社内では「ついに経営企画書に数式が登場する時代なんだね」なんて話が出たほど、インパクトのある内容でした。そのスピード感と提案力を含め、要点をつかんでソリューションの提供力が総合的に高かったというのが一番の決め手でした。

深い顧客理解があったからこそ、見えなかった課題や方向性が明確になった

株式会社pluszero 事業・人材開発担当・木村(以下、pluszero・木村)

ふるさとチョイスは「サイトだけが儲かればいい」という内容ではなく、寄付者と自治体とトラストバンク様の3社がそれぞれ恩恵を受けるようなソリューションが必要で、それには3者のバランス感がポイントでした。

しかしバランスに絶対解はなかったため、2週間~1カ月という短期間でプロトタイプをどんどん作り、トラストバンク様と一緒に議論をしながら作り上げることで、真に求めているソリューションを実現できたのではないかと思います。
トラストバンク・和田

まさにそのように動いていただき、プロセスの組み方などもテック系カンパニーにありがちな「提案したものを買ってください」ではなく、一緒に作りあげカスタマイズし、最適なものを提供しようとする顧客理解の姿勢を非常に感じました。
pluszero・森

先程、和田さんがおっしゃっていたことに加え、明確に予算が決まっている点や、地方創生・地域社会の活性化という視点も重要なので、モノが売れればいいという話とは全然違います。

今回の事業支援にあたり、まずは共通言語を作ることを重視したことが成功要因だったかと思います。トラストバンク様と事業者様、そして自治体の方とユーザーというステークスホルダーがいる中で、各々がどんなポイントを重視するか、KPIを因数分解する形でスプレッドシートを作り、2ヶ月ほどお互いに議論を重ねながら方向性や今後作るべきものをクリアにしました。
トラストバンク・和田

確かにご一緒させて頂く前は、目の前にあるものをどう整理し、寄付者がどんな心境なのかが、ぼんやりしていました。それが一緒にKPIを分解していく中で、例えば30あるお礼の品をどれだけ探しやすくできるかといった“検索体験の最適化”が重要だとクリアになり、我々の持つ課題が想像以上に広く高いところにあると提示いただいたのはありがたかったですね。これこそ、きちんとしたソリューションなんだと実感しました。
pluszero・森

弊社では局所最適に陥らないよう、できるだけ全体感を持って課題にあたるよう心がけています。一緒に取り組む部分はその中のごく一部だったとしても、ではその一部は全体の中でどういう位置づけなのかをはっきり認識した上で進めたいと考えているからです。

私どもはアルゴリズムや数学応用数学などを使って何らかの数値を最適化する技術と、長年、研究開発している自然言語処理の技術が強みです。それが今回のケースにおいてはトラストバンクさまがお持ちのデータ資産とうまく合致し、貢献できたのだと思います。

最初に数式で提案したという話がありましたが、最適化を図る事案は、たいてい数式を隠蔽した上でお客様のビジネスにはめ込む形が多いように思います。私どもは微細なところまでフィットするカスタマイズやソリューション提案を得意としているからこそ、今回のような「あるビジネスモデルに似ているけれども、実は全然違う」といったケースにおいて、高い効果が発揮できるのです。
トラストバンク・和田

お陰様でかなり確実性の高いマーケティングができるようになったのは大きな成果です。

プラスゼロさんの研究開発領域である、人のコンテクストや言葉の意味を理解しようという技術的なアプローチが実用化されていくと、ユーザーとのコミュニケーションや、ツール・プロダクトと人の関わり方自体が変わるのではないでしょうか。ふるさと納税は、人の中の根底にある「何かをしてあげたい」という思いに紐づいたものなので、そんな“関わり方”にまで踏み込めたらすごく面白いだろうなと思うのですが、単純にAIを実装するだけでは難しいですよね?
pluszero・森

POC貧乏・POC地獄という言葉も出てきていますが、AIを取り入れたものの実証実験から先に進めないという事例をよく見かけます。ですから今ある技術を使い何が出来るのかを見極めながら、やるべきことを順番にシリアライズしていくのがいいと思います。
トラストバンク・和田

現在はサイトのグロースハックやカイゼンに尽力いただいていますが、さらに広いマーケティングの可能性もお持ちの会社だと感じています。

将来的には、AI技術を使って寄付者様のニーズや特性に合ったレコメンドを返していけるようなシステムを作れたらいいなと思います。今よりもミクロな視点で、お客様一人ひとりの顔が見えるような形で体験の最適化を図り、自分たちらしい検索体験を作り上げたいですね。そのためにも、事業会社である我々では出来ないような技術的な課題解決を期待していますし、末永くお付き合いいただきたいです。
pluszero・木村

トラストバンク様は自社のことだけではなく、何よりも地域のことを考えて事業を行っていらっしゃいます。プラスゼロの数理的な知識や技術を生かし、引き続きサポートさせていただければと思います。
対談の詳細はこちらからご覧いただけます。