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Cross Talk 4<エクステック>“三方良し”の両替システムを最短開発

コンパクトでシンプルな保守・運用が特長の外貨両替機を開発したエクステック社。スタートアップ企業のため予算やスケジュールに大きな制限がある中、スムーズな開発・運用が実現した背景には、プラスゼロの力強いフォローが欠かせなかったそうです。

柔軟な発想と高い技術力で基板設計から開発

株式会社エクステック 代表取締役・越水 様(以下、エクステック・越水)

弊社はインバウンド旅行者が外貨を両替するための、ATMのようなマシンである外貨両替機を作っているメーカーです。全国展開をしなくてはいけないため、マシン(外貨両替機)をいかにローコストで運用していけるかは重要なポイントでした。

ローコストオペレーションのためには人手をかけるべきではありません。既存のWEBシステムなどを組み合わせ、できるだけ1~2人でオペレーションを回せることをコンセプトにしました。管理画面やレポートを作り込んだり、バージョンアップなどのソフトウェアもできるだけ簡易に、一発で何十台にも反映されるような仕組みを作ったりといった工夫をどんどんしていきましたよね。
株式会社pluszero CTO・堀内(以下、pluszero・堀内)

そうですね。
エクステック・越水

Webシステムのようなバージョンアップ前提のシステムで、かつマシンはIoTとして制御しています。それを実現するために、基板の設計とプロトタイプの製作から二人三脚でやっていただきました。

これをもし例えば工場や設計会社に個別に出していたら、それこそ会話のすり合わせだけでももう何カ月もかかってしまう。その点、プラスゼロさんにワンストップでお願いできたのはかなり大きい部分だったと思います。
pluszero・堀内

コイン基盤(の設計)は思い出深いです。コインホッパーという、コインを出す機械は既成品を活用することにしたのですが、コインを制御する基板は別注になってしまいます。それを別注するとそれだけでかなりの期間がかかってしまう。その上、別注した製品を組み込もうと弊社が開発をスタートすると、そこでさらに期間がかかってしまいます。そのため自前でコインを制御する基盤を作ろうという決断をし、それができる人が社内にいたので作ったわけです。
エクステック・越水

開発コストだけではなく、運用コストとメンテナンスコストも含めて削減したいと申し上げたときに、USBケーブルやハブの1つからすべて市場調査し、これが安いです、ここのメーカーが安定しています、これは長期運用できるのでコスト削減できますというところまでご提案いただきまして本当に助かりました。
pluszero・堀内

総合力と言いましょうか、結局ハードに対しても様々な製品を知り、ソフトウェアもそれに合わせられるように全部をまかなえる体制でないと、本質的な最適化は難しいと思います。
エクステック・越水

例えば作りたいものを作れるだけのエンジニアリングや会社は多いと思うのですが、すでに世の中にあって安く大量に手に入るものを活用しながら、一方で独自性を発揮して作り上げる提案力という点がプラスゼロさんは本当に優れていると思います。

AI活用の自動レート設定システムによりクライアントメリットを最大化

エクステック・越水

外貨両替機開発にあたり、一番力を入れたのは、日々変わる為替レートに合わせ、全国のマシンのレートをそれぞれ設定するためのシステム作り込みです。
pluszero・堀内

多数の両替機にどういうレートを設定すればいいか、さらにどうやったら利益を最大化できるかをアナログに毎日考えるのは大変だと思います。それらを自動化することで、数クリック程度でレートをどんどん更新し、最適化していける仕組みを作りました。
エクステック・越水

お客さまからもそこが一番評価されていまして、旅行者の方々には良いレート、一方で自分たちの収益も最大化できるよう、自動的にやってくれる上に作業工数がほとんどないという点は大変高く評価を受けています。
株式会社pluszero 代表取締役・ 森(以下、pluszero・森)

今回工夫したポイントは、単純に1回1回の取引で一番利益が最大化される点を見るだけでなく、例えばお金の再装填にかかるコストを勘案した場合、トレードオフが複数ある中で「どのようにレート設定すれば、置かれた場所ごとに一番利益が最大化できるか」をAIで最適化した点でした。

密なコミュニケーションでローコスト化とスピーディな開発を両立

エクステック・越水

プラスゼロさんには我々のすべての業務を理解していただき、コストがかからないようにするため、初期設計からチューニングからすべてやっていただきました。
pluszero・堀内

最初にお話をいただいたとき、できるだけ早く市場にリリースしたいというご要望がありました。全てを最初から作ると時間がいくらあっても足りないので、(既存のものを活用するなどの)割り切り方をどのようにしていくかがキモでした。

例えば管理画面なら「ここは最初から必要だけど、ここはリリース後でもいい」というようなやりとりはかなり濃密にやりましたよね。
エクステック・越水

弊社の外貨両替機はカテゴリー的には銀行のATMなどに近い性質のIoTマシンですが、IT面のアーキテクチャーとしてはかなりWebシステムやゲームに近い、日々バージョンアップがしていけるような構造。

ビジネスサイドからの「市場投入も早くしたいけれども、機能を盛り込みたい」というニーズに対し、これらの要件をすべて諦めることなく、スケジュール調整だけで実現できるようなシステムを組んでいただいたと思っています。
pluszero・堀内

半年かからずリリースできたのは、それらの調整をうまくできたからなのかなと思います。
エクステック・越水

思い起こしても、かなり無茶ぶりをしたなと思っています。弊社は基本的には資金調達をしながらやっていくベンチャーなので、お金が1円もなかったときに相談を持ちかけたにも関わらず「面白そうですね」と受けていただいた。その後、資金調達できてきてから開発開始、しかもそのときにはすでにリリースの時期が決まっていたという無茶ぶりでした。

森さんからアーキテクチャーや後のバージョンアップの構想をいただき、それならば私どものビジネスとしても十分期待に応えていけるとすぐに決断して進むことができました。
pluszero・森

越水さまは非常にアイディア豊富で、リリース前もリリース後も色々とやりたいことや機能のアイディア・構想が出てきました。通常ですと、ソフトウェアはこの会社、ハードウェアはここの会社というような形で分業することが多いと思いますが、我々の場合は社内でワンストップで出来るため、クイックにご要望にお応えできたかなと思います。

省スペースでメンテナンスが容易。拡張性も高い外貨両替機は、pluszeroの技術力の結晶

エクステック・越水

弊社のビジネスにおいて、マシンの小ささというのは非常にコスト的にバリューがあります。

例えば場所を借りてビジネスするときの場所代が設置面積あたりで決まっていたり、あるいは輸送費も大型になればなるほどものすごくコストがかかってしまう。

それでプラスゼロさんと取り組んできましたが、やはり小さくすると内部構造が込み入ってきて、熱害の対策としてファンの制御をこまめにする必要などが出てきます。こういった部分を初期設計から意識しつつ、途中テスト段階で問題が出た時にも迅速に対応できました。ここがなければ小型化というのは難しかったかなと思います。
pluszero・堀内

ファンを全力で回せば冷えはするものの、音がうるさくなる。例えばホテルに置く場合はそれでNGが出ることもありえます。ですから、出来るだけギリギリのところで音を抑えつつ、でも熱くなりすぎないよう、うまい具合にファンを回すことなどは何回もトライアンドエラーを繰り返して調整した点です。
pluszero・堀内

マシンのバージョンアップは意外と手間のかかる部分です。一般的には1台1台リモートデスクトップで入ってソフトウェアを置き換えるといった運用が生じますが、今回エクステックさんのシステムでは署名をしたファイルをアップロードすることによって、自動的に設定された両替機にアップデートウェアが配布され、そのまま次回の起動時にソフトウェアが更新される仕組みになっています。

このことで、新しい機能を加えたり、UIの見た目や遷移の仕方を変えることが気軽にできます。
エクステック・越水

バージョンアップシステムは弊社でも非常に高く評価しています。通常のシステムですと「細かな修正をある一定期間溜めてからやっとバージョンアップ」という形なのですが、今回のシステムであれば毎日でも小さな修正をすぐに実行できる。

大きな修正も小さな修正も、同じように対応できるというのは非常にありがたいシステムです。
pluszero・堀内

そういえば、ホテルから「(画面が明るいと影響があるため)夜中に運用を止めたい」という話が出たこともありましたね。とは言っても、一回電源を落とすと自動では起動ができないため、画面を真っ暗にしようという話になり、定時にスリープして時間が来たら再開するようなシステムを1週間くらいで作り、リリースしたことがありました。
エクステック・越水

実際に(両替機を)運用している方々からは、様々なニーズをいただきます。それらに対し、これまでも対応してきましたし、これから新たに出てくるニーズにも気軽にお応えできるかなと思っています。
pluszero・森

やはりそういったところに(弊社が)アジャイル的に対応できる組織・体制になっていたということが、今回のプロジェクトを進める上で良いところだったかなと思います。
エクステック・越水

これまで外貨両替機の基本設計からバージョンアップまでご尽力いただいていますが、これからも外貨両替機をますます進化させていくために、例えば訪日外国人の方々に対しての広告宣伝の最適化というのも考えています。また、セカンドプロダクトとして自動精算機や自動販売機も考えています。

それらについても、同じようなアーキテクチャーを応用していけると考えていますし、これからもお付き合いのほどお願いしたいと思っているところです。
pluszero・堀内

エクステック様の両替機を担当し始めてから、様々な技術のアップデートなどがありました。これまで得てきた知見、あるいは資産を活かしつつ、また最新の技術を使って、より安定・よりローコストでオペレーションができるものを作っていければいいなと思っています。
pluszero・森

インターネットに非常に密に接続している点は非常に大きなポイント。カメラも付け加えられるので、広告に活用できるパーソナライズなど、高次の機能要素を開発できるんじゃないかなと期待しています。
エクステック・越水

ぜひお願いしたいと思います。
対談の詳細はこちらからご覧いただけます。